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高校時代に仲の良かった女友達が、最近派手に遊び歩いているという噂を耳にした。

正直、彼女に対して恋愛感情を抱いていた時期があるため、笑い話で語られるその内容を他人事のように処理は出来なかった。

もう何年も経った、もう関係の無い人だ。

そう思えるだけの時間と環境を手に入れたはずだった。

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夜に耽ってあまり聞きたくなかった噂話を思い返しているうちに、寝室から眠っている妻の咳が聞こえてハッとした。自分はとっくに結婚していて、子どもにも恵まれた。自分は幸せだ。

カーテンの隙間から次第に空が白み出していることに気づいた。日の出はいつも正確だな。

昨日と同じ速度で、同じ場所から、ゆっくりと昇ってくる。

太陽は何も知らない。自分が手に入れたもの、失ったもの、そして彼女がどんな人生を送ってきて、どう変わってしまったのかも。

それでも光は等しく降り注ぎ、結婚した自分も、噂の中でイメージが崩れ落ちていく彼女も、同じ朝の下に立たされ、日常の営みを淡々と続けていく。

人は変わる。美しくも、醜くも、自分の意思とは関係なく。何も変わってないと思う自分でさえ、もうあの頃の自分ではないことを思い知る度、人の不安定さを痛感する。

完全に昇った太陽の光が、カーテンを切り裂く勢いで隙間から漏れてくる。子どもの身動ぎで新たな一日の始まりを予感する。

自分は、過去を否定しないし、今の彼女を裁くこともしない。そもそも出来ないのだが。

ただ、間違いなく彼女と充実していた青い日々があったことを胸にしまう。

日の出は毎日飽きもせずやってくる。変わらない周期で
世界を照らす。

その下で、人は今日も、少しずつ別の形へと変わっていく。

1/3/2026, 4:49:46 PM