300字小説
心残り
『誰もがみんな無視していくのにキミは気づいてくれたんだ!』
学校の理科準備室で見つけてしまった女子学生の霊に俺は頭を抱え込んだ。
この霊視のせいで、これまでどれだけ酷い目にあったことか。霊を成仏させるには心残りを晴らさなければならない。
「出来る範囲でやってやるから話してみろ」
やれやれと肩を竦めた俺に霊は目を輝かせた。
映画にテーマパーク。ランチとカフェは俺が一人で食べたけど、霊の言うとおり、一日中遊ぶ。
夜のイルミネーションカーニバルを見た後、霊は心残りが晴れたと笑った。
「こんなんで良いのか?」
『うん』
その身体が薄くなっていく。
『大好きな男の子とデートが出来たんだから、もう心残りはないわ。ありがとう』
お題「誰もがみんな」
2/10/2024, 11:28:05 AM