暗がりの中で踊り明かそう。
いつか夜明けはくるのだから──。
いくら僕が強がっても、貴方は誰よりも僕の心が脆く、壊れやすいことを知っている。僕の言葉の全てが嘘で固められているのだから。
僕のことを、天才、狂人だなどと、周囲の人々に表面的なレッテルばかり貼られて、その度に嘘を重ねた。
僕が僕じゃなくなってしまう─。
1度描いたら塗り重なって消えない油絵か、瘡蓋のようなものに感じる。
僕はこの世界が苦手だ。神様から与えられた才能という称号もなければ、努力さえ出来ない。
一つだけ贈り物があったとしたら貴方との出会いだろうか。僕は少しだけ救われたと思う。
カウンターにはじきに消えてしまう蝋燭が1本。
暗がりの中で、灯火が揺蕩う。
今になっては誰も救いようのない僕を助けてくれようとした貴方が恋しい。お酒を1杯、口に含んだ。
遠のいていく意識に恐怖を感じるのと裏腹に、安堵の気持ちも込み上げてくる。
さようなら、そしていつかまた。
脳裏にノイズがかかった。
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お題:暗がりの中で
10/28/2024, 10:08:59 PM