「今日は空を描いてください」
「「「はーい」」」
空、かぁ…空はえーっと…水色だよね。
「…水色ってどれだろ。」
私は色が分からない。世界が白黒で見えている。
無色の世界はなんだか1人違う世界にいるみたいで寂しい。
元々は見えていた。でも突然見えなくなったからどんな色なのかは一応分かる。でも判別出来ないから、先生に聞いて絵を描く。正直楽しくなんてない。クラスメイトも誰も声をかけてくれない。先生も本当は嫌なんだと思う。
「………」
無言のまま“空”が出来上がる。でもやっぱり色はなくて、…私の心情みたいだ。無色の空。
「先生、どうですか?」
「……素敵よ。でもちょっと色が違うね。葉っぱは普通緑か茶色、黄色や赤よ。」
『普通』か…
「…はい。すみませ」
「いいんじゃないかしら」
おっとりとした声がしたと思えば、先生アシスタントになった若い女の人が私の絵を見ていた。
「紫に、ピンクに水色。とってもいいと思うわ。」
「でも普通は…」
「普通なんて関係ない。絵は自由よ。決めつける物では無いわ。」
『普通』なんて関係ない…自由…
「……」
「っ…好きにして。」
先生はそう言うと、去っていった。
「あの、ありがとうございます…」
「いいのよお礼なんて。それじゃあなにか困ったことがあったら言ってね。いつでも来て大丈夫よ。」
「は、はい…」
優しい人だな…
チラッとその人の目を見ると、一瞬綺麗な水色の瞳が見えた気がした。
その日から私は学校に行くのも楽しくなった。
あの人が待ってくれているから。
無色の世界から開放された気がした。
#無色の世界
書くものがない!以上!
4/18/2023, 10:31:57 AM