海老body

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それは、火花が散るように瞬いていて。
恋をしたときに似ていた。

右手のカップ酒がゆらりと揺れる。
狭いベランダで、化粧も落とさずスーツも脱がず、星空をツマミに飲んでいても、いつかの叱る者はいない。

ここは星がよく見える。そう言うから、ここを借りた。
私は星の名前がわからないのに。全て同じに見えるのに。
この部屋に私を置いていくのなら、星についてもっと教えてくれれれば良かった。

酒と恨み言をゆっくりと嚥下する。
聞くのは私しかいないから、せめて私が消費してあげないと恨み言達が報われない。

視線を落としたその時、カップ酒のロゴがやけにハッキリ見えて。ふと顔をあげたら、空が異常なほど鮮やかに光っていた。
朝にはまだ早すぎる時間で、そこでけたたましい、周囲の端末の警告音に気付いた。

なんだか終末の予感。
この思いは私が背負っていくには重すぎたから、丁度良い。

7/5/2024, 9:37:09 PM