お弁当の漬け菜噛み、あの子のことをふと思い出す。
味噌汁を啜る。
あの子は友達だった。
学校で初めてできた友達だった。
受験の日、テストの合間の休み時間に、言葉を交わして、意外と話が弾んでしまって、なりゆきで友達になった。
学生時代はいつも一緒だった。
移動教室も、休み時間も、昼ごはんも、部活も。
うんざりするほど一緒だったけど、その時間がやけに心地よかった。
けれど、友達なんて所詮、そんなものだ。
一緒に共有する時間だけが、私たちの仲の全てだった。
私とあの子は、仲が良くて一緒に過ごすだけで、目指す場所も目標も幸せの形も何もかも違う。
けれど、どんな学生生活を過ごしたいか、という一点に置いて、私たちの理想は一致していた。
だから、私たちは、いちばんの友達だった。
楽しい日はあっという間に過ぎる。
私たちは友達だ。
学生時代において、誇張なしにbest friendsだった。
今でも連絡を取り合い、一年に一回は遊ぶほど、私たちはbest friends。
しかし、親友とは違う。
私には、親友ができた。
幸せの形が似通っていて、職場でも頼れる唯一無二の友達が。
あの子にもきっと出来ただろう。
私よりずっと気の合う親友が。
しかし、私たちは今でも仲良しだ。
あの頃と同じように。
同じ時間を分け合い、同じ時代を過ごした最高のbest friends。
そうして、私たちはお互いに、それだけで満足なのだった。
あの子のいない昼休みを噛み締めながら、お弁当を食べ終える。
もうあの頃の私たちはいない。
しかし、私たちは今でも形を変えてfriendsなのだ。
10/21/2025, 4:25:10 AM