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 正城が部屋の掃除をしていると小学校の卒業アルバムと、クラスの文集が出てきた。
 卒アルは綺麗な写真が製本されているし、記念品に残しておいてもいいだろう。問題は文集の方だ。小学生の手描きのヘニャヘニャとした文字で、プロフィールや学校で一番楽しかったことが綴られている。今後読み返すことはあるだろうか?

 正城は文集をぺらぺらとめぐりながら、数人の友達のページを見返した。友達…と言えるのだろうか?私立中学に入ったため、彼ら彼女らとは一切連絡をとりあっていない。当時は楽しいこともあったはずだ。でも、その楽しさを具体的には思い出せない。自分には小学校の友達の思い出と呼べるものが無い気がする。

 正城はため息を付き、文集を捨てるモノ側に置いた。

 これは教訓だ。人の縁や思い出はもっと意識して作って、繋ぎ止めておかなければならないという。幸い中学のクラスも水泳部も気の良い奴らだ。

 不要なプリント類と一緒くたに打ち捨てられる小学校の思い出。中学の文集はこんな目に合わせないようにしてやりたいものだ。



7/6/2024, 10:38:20 PM