大空を飛べる発明品
「とうとう飛行機を発明したぞ!」
十年前、私は世界初の発明を成し遂げた。この発明品を売り出せば飛ぶ鳥を落とす勢いで流行すると確信していた。
しかし、発表当時の売り上げは雀の涙だった。経済的にも苦しい時期が続いた。
それから数年。鳴かず飛ばずだった飛行機と私に、転機が訪れた。
「便利で楽しい。三児の母の私にとって、これは一石二鳥、いや三鳥の発明です!」
「仕事場に導入されて以来、重宝しています。感謝してもしきれません」
子育て世代や医療の現場からの暖かい手紙が届き始めたのだ。瞬く間に流行が始まり、今に至る。
これが私の半生だ。おっと、お客さんが試乗から帰ってきた。新しい飛行機、気に入ってもらえただろうか。
「最高です、この飛行機に決めました」
「ありがとうございます。乗って帰られますか?」
「家まで運んでいただきたいです。たまには翼を動かして自力で飛んで帰らないと、体がなまってしまいそうなので」
12/21/2024, 2:40:19 PM