緑川 悟

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春先の雨は柔らかい。あなたはそう言って傘を畳むと降り出した雨を味わうように肌へと塗り込んだ。

やめなさいよ、と私は笑って止めたが雨に濡れた彼女の肌は美しく、どこか羨ましいものを感じる。

少し傘をどけて手のひらに雨を集め、おもむろに顔に当ててみたが、顎髭の硬さにそれは邪魔されてしまった。

11/6/2022, 8:24:22 PM