人さがし

Open App

─窓から見える景色─

君と昔、幸せに住んでいたこの家。

今でも残る、君の香水と思い出の品。

捨てようとしても、捨てられない。

君との時間が、無駄に感じてしまうから。

それに、捨てることが物理的に無理な物もあるから。

例えは、海の方面にある窓。

あの窓から見える景色は、綺麗な青色の海だった。

夜に海へドライブに行き、貝殻を集めて写真を撮った。

でも僕も君も、写真は壊滅的に下手で。一緒に笑ったんだっけ。

この海の見える窓は、君との思い出が詰まっている。

自分でも分かっているつもりだ。

捨てられないんじゃなくて、捨てたくないんだって。

いつか君が、ただいまって帰って来ないかな、って淡い期待を抱いて。

今まで通りに、何もなかったみたいに。

そんなこと、あるわけないと頭で分かっていながら。

今日も僕は、海の見える窓辺で眠る。

9/26/2023, 9:56:39 AM