「風景」「ひとひら」(4/12、13)
川のある風景。
君の手には丸くて平べったい小石がひとひら。
うまく投げれば水面を飛びそうだ。
花のある風景。
君の髪に桜の花びらがひとひら。
春は君を彩る季節みたいだ。
海のある風景。
君の足元に白い貝殻がひとひら。
海は君を静かに呼んでいる。
全てをなくした風景。
君の手に壊れた世界の欠片をひとひら。
世界が遺した形見を、君はじっと見つめていた。
君だけがいる風景。
小さな君のてのひら。
かつて見た花のようだ。
この世界には、君さえいればいい。
たとえ壊れても、何度だって作り直せばいいだけだから。
だから。
君はずっと、そばにいてね。
4/14/2025, 9:52:23 AM