『落ちていく』
暗い、昏い穴をオレは落ちていく。それはまるで永劫とも思えるように長い。
途切れつつある意識の中、オレはさっきまでの出来事を回想する。
まさか、青銅の小僧なんかにこのオレが負けるとはなぁ。しかも、黄金聖衣には逃げられた上、丸裸の相手に、オレの縄張りでやられたときたもんだ。言い訳のしようもねぇ。まったく、末代までの笑い者だぜ。
――ま、このオレにゃ相応しい末路だったかもしれねぇがな。
オレは今でも自分の行いが間違っていたとは思っていねぇし、やってきたことに後悔も反省もねぇ。だが、自分の行いが到底褒められたモンじゃねぇことぐらい自分でも分かってる。だから、自分の行いが回り回って自分に返ってきた、因果応報だと言われても、はいそうですねとしか言えねぇ。
それに、オレ自身畳の上で死ねるとか、ましてや極楽に行けるなんかこれっぽっちも思っちゃいねぇ。望んでこの手を血に染めたオレには、地獄が相応しい。
あとは、オレに青臭い説教をしてきたあいつがこの先どこまで行けるのか。その結末を見られねぇのはちょっと残念だな。
ともあれ、オレは一抜けだ。じゃあな、シュラ、アフロディーテ、それにサガ。先に地獄で待ってるぜ。
11/23/2023, 11:36:21 PM