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拝啓
春の夜の空気が、どこか夢と現の境を曖昧にする頃となりました。貴方はいかがお過ごしでしょうか。

「これからも、ずっと」
その言の葉を思うたび、私はひとひらの蝶を胸に宿したような心地になるのでございます。

蝶は、ひらひらと舞いながら、どこへ向かうとも知れぬまま、ただ風に身を任せております。
けれどその儚さこそが、美しさの証のようにも思えるのです。人の想いもまた同じで、確かな形を持たぬからこそ、信じることに意味があるのではないでしょうか。

かつて夢と現の区別さえ揺らいだというお話がございますね。己が蝶となりて舞う夢を見たのか、それとも蝶が今、己としてこの身を生きているのか。
その答えは、誰にも分かりません。

けれど私は、たとえこの想いが夢であろうと現であろうと、構わないのです。貴方を想うこの胸の震えだけは、紛れもなく「今ここ」にある真実なのですから。

「ずっと」とは、未来を縛る約束ではなく、この一瞬一瞬に、そっと願いを重ね続けることなのかもしれません。蝶が一度きりの羽ばたきを繰り返すように、私は今日もまた、貴方を想うことで「ずっと」を紡いでゆくのでしょう。

どうか、願わくば。その儚き羽が、どこかでちぎれてしまうことのないように。貴方の傍というやさしい風の中で、この想いを、静かに舞わせていただけませんか。

もしも世界が夢であったとしても、その夢の中で、貴方と巡り会えたことを、私は幸福と呼びとうございます。

これからも、ずっと…その言葉を、蝶の羽にそっと託し、貴方のもとへと届け続けてまいります。
敬具

4/8/2026, 12:00:29 PM