生きていた時の俺に、友人と呼べるような存在はついぞ現れませんでした。
一時期行動を共にして、一緒に略奪したり、戦に加わったり、そういうことをした者たちはありましたが、彼らは友人などではありませんでした。それは、互いに信頼も信用もせず、利害が一致しなければすぐに別れ、あるいは殺し合うような、非人間的な関係でした。
友人と呼べる者が現れなかった、というのは、間違った表現ですね。
俺が、誰かとそのような関係になれるように人と関わることができなかった、が正確です。
そう、他人に問題があったわけではない。俺自身が、誰かの友人になれるような人間ではなかったのです。あまりに単純で容赦のない、笑ってしまうような結論です。
だから、貴女が俺と人間としての関係を結ぼうとしてくださった時、俺はそれに気づくこともできませんでした。そのことを理解した時、貴女と出会ってからの時間をどれだけ無駄に、いえ、どれだけ冒涜したのか気づいて、俺は恐れ慄き、心から後悔しました。
俺は人間ではなかった。
貴女は俺を、人間にしてくれた。
ああ。貴女は、人間として生まれ直した俺に、世界を見て回ってほしかったのか。今、気づきました。
俺をお傍に置いてくださらなかったこと、俺を待たずに亡くなってしまったことを恨む気持ちがなかったというと、それは嘘になります。
けれど、違ったのですね。貴女は俺のことを真摯に思い、愛してくださっていたんだ。
涙が止まりません。
愛しています。愛しています、XX様。愛しています。
7/6/2024, 2:42:27 PM