分厚いカーテンを引いて、電気代の節約のため、30度だけどまだまだ扇風機に頑張ってもらってる私の部屋。多少はましだけど、じっとりと汗がにじむ。
「暑いな」なんてあのひとが言いながら、私を背後から抱きしめる。
「暑いんじゃなかったの?」
暑いだけじゃない体温が上がってドキドキする。これからのことを期待して、緊張して手が震えたりなんかする。
「それとこれとは、話が別」
あのひとはそう言いながら、半袖から伸びるプニプニの私の腕を優しくつまんでいる。
「やめてよ〜」
そう言いながらも、あのひとの手の感触がいとおしい。
「君の腕、気持ちいい」
なんて、あのひとはしばらくむにむにしてたけど、再び私の背中をぎゅっと抱きしめて顔を首筋に埋めてきた。
そのまましばらく黙ってたけど、あのひとの震える声が首筋にかかる。
「好きになってごめん。でも、離せない」
しかし、私はあのひとの言葉に返事をしなかった。しばらく経って、ようやく声にできた。
「……私も、あなたにそばにいてほしい」そういうのがやっとだった。
言うまでもなく私達は、誰にも理解されていない想いで結ばれていた。どのようにしてこうなったのか。
お互いに意識しあって、触れ合って、そして、さらに。
その関係は、私達だけが知っていれば良いことだと分かっていた。実際、誰にもまだ、明らかになっていない。でもいつか、この関係も皆の知るところになるのだろう。
だから隠しておかなくてはという気持ちと、それでも皆に、私とあのひとは結ばれていると叫びたい気持ちが、私の心でせめぎ合っている。
半袖
5/28/2023, 8:18:15 PM