あら珍しい。雨粒の落ちる石畳に鮮やかな和傘の花一つ。近くの傘屋で買い求めた物だろうか?日を追うごとに増えてきた観光客に、少しずつだが確実に日常が戻ってきたことを実感して、人知れず安堵の息を吐いた。それにしても綺麗な和傘だ。茜色の地、白抜きの乱菊には所々に金箔で影が付けられている。カランコロンと下駄を鳴らしながら、その美しい和傘の主は真っ直ぐ伸びた石畳を歩いていった。テーマ「柔らかな雨」
11/7/2024, 7:17:25 AM