小絲さなこ

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「都合の良い夢」



これは夢だとわかってる。
現実の私は病院のベッドの上。

どれくらい体が動くのかわからない。
もしかしたら、指一本も動かせないかも。

そもそも、どれくらい時間が経っているのか。
一晩かもしれないし、何日、何週間、何年かも。

目を覚ますのが、怖い。


いつ死んでもいい──だなんて言って。
そのくせ、やり残したことはたくさんあったのだ。
やらないうちから、諦める理由をつけていただけで。


声が聞こえる。
私の名を呼ぶ声が。

覚悟を決められないまま、私による私のためだけの都合の良い夢は、もうすぐ終わる。

この夢の世界のことは、きっと忘れてしまうだろう。



────夢と現実

12/5/2024, 7:47:00 AM