koyagi

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また、リセットされた。
クラス替え。席替え。入学式。卒業式。
何かが始まるとき、必ず何かはリセットされる。
今日は、クラス替えがあった。
皆が歓声を上げて盛り上がってる中僕は静かに肩を落とした。
気軽に話せる人が、周りに誰1人としていないからだ。
前の席で僕が必死に築き上げた交友関係が、
席替えという謎概念の所為で全て崩れ去ったのだ。
あーあ。
隣の野球部の奴とか個人的に話しかけにくい。
絶対陽キャじゃん。絶対睨まれるじゃん。
ごめん偏見だけどさ。
そう心の中で謝った時、
視線の先にあった隣の坊主頭がこっちを向いた。
やべぇ、声に出てたか……?
困惑し、相手からの言葉を待った。
「今日から隣!よろしくな」
ニッと白い歯を見せて笑いかけられた。
拍子抜けた。
どちらかというとふざけて騒いで怒られてるやんちゃなイメージしかなかった。
「一応話したことないよな…?」
恐る恐る確認してくる坊主頭。
名前が中々頭に浮かんでこない。
「一応どころか、全く話したことないよ」
「まじか、そうだったな」
ははっとまた笑っている。
どうやら思ってたほど悪い奴では無いらしい。
少し目を逸らして、そっと名札を盗み見た。
『東』。
くっそ。
『ひがし』か、『あずま』か、わかんねぇ…。
正直に聞くしか無いか…。
「ごめん名前教えて貰っていい?」
「俺も名札見て読み方わからくて困ってたwww」
その言葉を聞いて、
こいつとは仲良くやれそうだなと確信した。

10/21/2024, 9:58:19 AM