おとといから続いていた都内豪の雨災害のおはなしも、多分、今回で一段落。
最近の都内はゲリラ豪雨と川の氾濫とで、あっちに被害、こっちに被害。
それはそれは、スッタモンダあったのでした。
今回の大雨は、お題の「台風」というより、どうも活発な秋雨前線が関係していたようで。
秋の長雨にしては、酷い豪雨であったのでした。
ところで今回のお題ではこの台風に、過ぎ去ってもらわなければ回収できません。
実は都内某所、あまり知られていない隠れた場所に、本物の使える魔女のおばあさんが店主をつとめる不思議な喫茶店がありまして、
前回投稿分のおでんがコトコトくつくつ温まっておったころ、大事件が発生していたのでした。
風と熱の魔法を応用した魔法乾燥機を
悪しきオーバーツーリズム異世界人の若者2人が
こっそり盗もうとしたところ、魔法が暴走!
さいわい、店内には悪しき2人と魔女の店主さんが居るだけでしたので、
人的被害という人的被害は、無かったのですが、
そうです、暴走した風の魔法が、店内で暴風になって、台風になって、ごうごう、びゅうびゅう!
大暴れしておったのです!
「ああもう、ああもう!なんということかしら!」
魔女の店主さん、暴れる魔法ミニ台風の勢力を、冷気と圧力の魔法で弱めつつ、店内のあれこれが飛ばされないように、封印することで大忙し!
それはもう、てんやわんや、しておったのでした。
外は大雨店内は台風。酷いハナシです。
で、この後どうやって、この魔法台風が過ぎ去ってゆくかといいますと。
丁度悪いタイミングで、お客さんが来たのです。
「アンゴラ、居るかい?」
それは、言葉を話す1匹のハムスターでした。
「いやぁ酷い雨……」
酷い雨だね。
そう言おうとしたハムスターは、副業で喫茶店をしておる魔女のおばあさんと、同じ主業の同僚さん。
ビジネスネームを「カナリア」といいました。
「おわっ!?おおお、おお!?
わぁぁーー!!」
とっとこカナリアが小動物用のドアを開けて、喫茶店に入ろうとしたところ、
なんということでしょう、魔法台風が本物の外、本物の自然の空へと出たがって、小さなドアから逃げ出してしまったのです——
とっとこカナリアを道連れにして。
「え!なに!?僕どうなってるの!
なんで空飛んでるの?!助けてぇぇー!」
魔女の喫茶店で何があったのか、何故台風が暴れておったのか、とっとこカナリア、知りません。
いつもどおり、ミックスナッツとチーズとササミの盛り合わせを食べたくて、喫茶店に来ただけです。
それが、小動物用のドアを開けた途端、
魔法のミニ台風にさらわれて、気がついたら、東京の豪雨の雨空を、飛んでおったのです。
何故でしょう。 お題がお題だからです。
さぁお題を回収しましょう。
「ああ、どこまで行ってしまったかしら……」
台風が過ぎ去って、喫茶店は静かになりました。
台風が過ぎ去って、とっとこカナリア消えました。
喫茶店の店主はざーざーごうごう、
雨降りしきる東京の空を、なんだか向こうにそれっぽい小さなまんじゅうが飛んでるなという場所を、
ちょっとだけ、心配そうに見ておりました。
「飛んでしまったハムスターの救助って、
さすがに、119でも110でも、ないわよね?」
台風が過ぎ去って、外では雨がざーざーごうごう。
外の人間は誰ひとり、喫茶店から魔法台風が逃げてったことに気づきません。
とっとこカナリアはその後どうなったでしょう?
「『どうなった』じゃないよ!助けてよ!!」
キーキー、ちゅーちゅー!
とっとこカナリアは手足を広げて、ひっくり返ったりお尻を見せたり、アクロバティック。
魔法台風に巻き上げられて、もうモミクチャです。
時折、回し車のように回って「わぁわぁ!」
おまけに都内は雨も降っておったので、
とっとこカナリアは、まるで小さな小さな洗濯機の中を、踊っているようでした。
くるくるくる。楽しそうですね。
「楽しいワケないだろ!恐怖だよ!」
魔法台風は空を自由に飛び回り、自分の存在いっぱいに雨を浴びて、空気を浴びて、大満足。
自分の命であるところの魔力がスッカラカンに無くなったので、素直に消えてゆきました。
「わぶっ!」
魔法台風が過ぎ去って、ハムスターのカナリアは気が付けば、どこかの杉林の杉の木の上。
「くぅぅッ……なんなんだよもう……」
とっとこカナリアはそれから数分、自分の身に起こった酷いハプニングを嘆いて、ストレス解消に枝などガリガリかじって、
そして、数十分、1時間ほどかけて、ようやく杉の木のてっぺんから地面まで、戻ってきたとさ。
9/13/2025, 4:41:58 AM