宛のない暗い世界の中、僕は君を探していた。
あの日、君がいなくなったときから、僕の世界は一気に色あせた。
「貴方には他の人がいるから。」
そう言って寂しそうに笑った君の顔が頭から離れない。
僕には、君以外に誰もいないのに。
君は、勝手に僕のことを決めつけて、絶望して、どこかへ行ってしまった。
雨が降る中、君が生きそうなところを探す。
いない。
いない。
いない。
どこを探しても、君はいなかった。まるで、そもそも君なんて存在しなかったみたいに。
道行く人は僕をせせら笑う。
「いつまでそうしているんだ?」
と。
「縋って、追って、惨めだな。みずぼらしい。」
と。
それでもよかった。どんなに言われようが、君が見つかるのなら。
スマホに通知が来た。
見てる暇があるなら、君のことを探したかった。いや、きっとそれに引き寄せられなければ見なかっただろう。
だけど、引き寄せられてしまった。
『私のことを探しても無駄だよ。だから、お願い。私のことなど忘れて。』
彼女の連絡先からだった。
僕はどうすればよかったのだろう?
こんなにもピンポイントで来るなんて、彼女はどこかで見てるのではないか?そんな気がしてしまう。
でも、そんなことはないのだろう。
最早動く気など起きなかった。
ただ、全てが雨に溶けることを願って、空を見上げる他無かった。
3/15/2025, 8:55:30 AM