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『ブランコ』

フランスの画家ジャン・オノレ・フラゴナールの代表作に、「ブランコ」というものがある。

ピンクのドレスを着た若く美しい貴婦人が、庭園でブランコに乗り、脱げたミュールが宙を舞う瞬間を描いたものだ。

一見、とても美しく麗らかな情景に思えるが、よくよく注意してみると意味が変わる。

中央の女性の足元には、茂みから彼女をのぞき見る愛人の貴族が描かれている。彼の目線は彼女のドレスの中。足の間だ。
また、左端のキューピッド像は秘密を隠すように人差し指を口に当てている。

ここまでなら、秘密の恋。
だが、それだけでは終わらない。

女性の背後には、ブランコを揺らすロープを掴む初老の男性。彼は彼女の夫だ。
彼の傍らに描かれた天使像の表情は驚き?それとも困惑だろうか。

夫の周辺は薄暗く光が差していない。光を浴びているのは自分の妻と、その若い愛人。
なのに、夫の口元は笑みを浮かべている。
夫は何を思ってブランコを揺らしているのだろう。

美しいのに、どこかゾワリとさせられる一枚だ。

2/2/2026, 9:44:48 AM