しゅら

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あなたがいたから

目を擦り
紫色の 暁と
添いて咲きゆく 君の背中に
涙をこぼす 孤独感

手を伸ばし
あなたの色の 陽炎と
徐々に重なる 君の笑顔に
顔綻ばす この時間

 彼は6年前、妻に先立たれてから、シングルファザーとして身を粉にして働いてきた。しかしその分、娘と過ごす時間が少ないことを気にしていた。夏のある日、彼はあくびをしながらリビングへ向かう。するとベランダには、早朝にもかかわらず朝顔の世話をする娘の姿があった。(彼女は私の知らないところでどんどん成長している)そう考えると、不意に彼を無力感が襲った。妻を亡くしてから、彼の孤独を埋めていたのは、生きる意味を作ってくれていたのは、彼女だったのだ。「あ、お父さん、おはよう!みてみて!きれいに咲いてるよ!」朝顔の生長を喜ぶ彼女のように、私も彼女の成長を素直に喜べるのだろうか?妻の面影をなぞる彼女と二人、家族三人の笑顔のだんらんが、そこにはあった。

6/20/2024, 4:28:30 PM