NoName

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近所の小さいながらも美しい家には、
美しいハニーブランドの髪を持つ少女が住んでいた。
お姫様のような彼女は、毎日昼頃に庭で紅茶の匂いを
漂わせながら菓子を食べていた。
彼女に憧れ、話しかけることを決意した。

昼頃、庭先に出ている彼女に声をかけた。
「こんにちは…!」
彼女は微笑み、「こんにちは」と返してくれた。
それから私は毎日彼女が紅茶の匂いを漂わせた時に
挨拶をしていた。

ある日から、紅茶の匂いがしなくなった。
彼女の隣人に聞くと、持病が悪化し、
そのまま亡くなったことを教えてもらった。
こんな何も無い街に来ていたのも療養の為だったのか、
私は彼女の邪魔をしたのか、
そう考えると夜も眠れなかった。

数日後、彼女の家は更地になった。
もうこの家からは、紅茶の匂いはしなくなった。

10/27/2024, 4:13:36 PM