世の中は私が思っていたより色彩豊かだった。どうやら私のように色が足りないのは極小数で、十数年生きてきて街中で一人も同じ人を見かけたことがないと気がつくと、私は欠陥品として生まれたのだと思うようになってしまった。
色白の域を超えて白い肌、おばあちゃんみたいに白い髪、血管の透けた瞳の色は不気味に見える。悪目立ちする容姿は面倒事に巻き込まれてばっかりで、誰も私を皆と同じように見てくれなかった。
でも、君だけ。色がわからないと言う君だけ普通に接してくれた。普通に話して普通に遊んで、普通の友達のように私を見てくれた。
本当は知ってるの。君がわからないのは色彩で、色の濃淡がわかるのならば私だけ変なのもわかってる。普通に見えるって言ってくれたのは嘘だって知ってる。その嘘が嬉しくて愛おしい。いつか打ち明けてくれたら、ありったけの感謝を伝えたいと思う。
誰よりも色鮮やかな君へ。
『カラフル』
5/1/2023, 3:56:15 PM