SHADOW

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たとえ間違いだったとしても


⚠️注意⚠️
この作品はフィクションです。
実際の事件や出来事とは関係ありません。
死を連想させる表現があります。
グロテクスな表現が、含まれている可能性があります。


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 「今…お前の無念は晴れたか…。」
月明かりの下で、男は夜空に向かって呟いた。

 ー数年前ー
「待てよw」
「待たないよw」
俺は彼女と一緒に駆け回った。

だけど、すぐに楽しい時間は消えてしまう。
彼女と別れた後、彼女は何者かに後ろから刺されて、亡くなった。
俺は暫く自暴自棄になっていた。
自分を恨んだ。
なんで最後まで、彼女を家まで送らなかったのか。
俺が一緒にいれば、傍に居れば彼女は死なずに済んだのに。俺が犠牲になればよかったのに…。

 テレビをつけても映るのは、
彼女が犠牲になったニュースが流れるばかり。
もう辛い。
俺も彼女の方に逝けるかなって思ってしまう。
そうだ…逝けばいいんだ。
俺は大量の薬を飲もうとした。
しかし、誰かに止められてしまった。

 誰かと思い振り返ると、
そこにいたのは幼馴染が俺の手首を掴んでいた。

「馬鹿なことはやめろ!
そんなことをしても、彼奴は浮かばれない!」

幼馴染は俺の事を抱きしめ、
落ち着くまで傍にいてくれた。
落ち着いた頃、幼馴染は口を開いた。

「辛かったな…。お前が大事にしていた人が殺されたんだ。そりゃ、お前もおかしくなるもんな。」

と言いながら、俺の背中を摩ってくれた。

「だけどよぉ…。夜中の帰り道を後ろから包丁で何回も刺したんだぜ?相当憎んでたんだな。」

俺はその言葉を聞いて固まった。
ニュースには
      『後ろから刺された。』
としか言っていない。
いくらネットが発達しているからって、
犯人じゃなきゃ分からないだろう。
俺はその言葉で、犯人は幼馴染だと確信した。
何故幼馴染は、彼女を殺したのかは分からない。
だけど、殺人犯を野放しにはしてられない。
俺は幼馴染を殺すことにした。

数日後の夜。
俺は彼奴を森の奥に端を見に行こうと誘い、
後ろからハンマーで殺した。
俺は多分壊れていたんだと思う。
彼女を信頼していた幼馴染の手によって、殺された事で俺は二つの大事なものを失った悲しみから、犯行に及んだと思う。

「これで…いいんだ…。」
と言葉を零しながら、夜空を見上げた。
たとえ間違いだったとしても、
彼女の無念は晴れたのだろう。
そう俺は思った。

4/22/2024, 12:13:24 PM