365日四季を問わず実家には花が飾ってあった
家庭とはそういうものだと思っていた
とりたてて褒め言葉を言った記憶がない
大振りの枝物をアレンジするのが得意だった母
玄関に生けたそれは 花を纏っていても威厳があった
子供心に 他にはない佇まいを感じていた
仕事で留守がちの父の代わりをし 家や子供達を守っていた母の分身だったのかもしれない
遺品の中に生け花の写真が見つかった
年老いた母が撮ったものだそうだ
花好きの母らしい
懐かしい想いでそのアルバムをめくる
一輪の花を愛でるように生けた一枚があった
「きれいだね これにまつわる話聞かせて?」
どうしても母に尋ねたくなった
2/25/2025, 9:59:22 AM