異世界から魔王城の魔法陣を経て
2025年の日本に戻ってきた。
怒涛の異世界暮らしだった。
魔法もチートもないボクが
なんとか生き延びられたのは
一緒にオマエの世界に行くにゃと
まとわりついて来た獣人のおかげ
住み慣れたボクのアパートで
君のおかげで日本に帰れたよと
感謝を込めて顎下を優しく撫でるとゴロゴロと喉を鳴らした。
獣人のパッとした見た目は
ほぼ人間なんだけど、ヒゲと尻尾とぴょこんと頭に生えている三角耳が獣感を主張してる。
ヒゲはごめんけど切っちゃって、尻尾はダボついた服に押し込み耳は帽子で覆い隠した。
異世界では魔法と剣を振るい
魔王を華麗に倒した面影が消えてヤンチャな男の子に見える。
オマエと楽しくニホンで暮らすにゃ。とりあえず今日もコンビニなるところで季節限定のスィーツを買いに行くにゃ!
とドタドタと玄関で靴を履き出て行こうとするのを慌てて止める。
買うとも買わないとも返事をしないうちにすぐ行動にでる。まだこの世界で間もないのに馴染みつつある順応力。
幼な子のように危なっかしくて目が離せない。
コタツのみかんの横に置かれている帽子を慌てて手に取り駆け寄って獣人にすぽんっと被せた。
「帽子は耳が痛いにゃ」
「外に出るなら、ちゃんと帽子かぶって!」
これからボクの口癖が
「帽子かぶって!」となるとは
この時のボクはまだ知らない。
【帽子かぶって】
1/28/2025, 7:55:11 PM