元気かな
渡英してから何年経っただろう、ってたまに振り返ることがある。指折り数えてみたらなんと、祖国で暮らしていた年数よりも長くなっていた。現在進行形でも更新中だし、私自身は帰る予定も気持ちもないから、きっと祖国が第二の故郷的な位置付けになっちゃうんだろうな。
そんな私でも、物理的にも精神的にも遠のいていく祖国へふと思うことがある。家族ぐるみで付き合いのあった幼馴染、元気にしてるかなーって。
「え? まだいるの?」
「いるよ」
「寺生まれのNさん」
「そこはTじゃないんだ……」
私と双子の弟からすれば、後輩が『寺生まれのTさん』を知っていることに驚きなんですが。
私たちきょうだいの実家は神社だったんだが、ふと思い出した幼馴染は実家がお寺なんだよね。この場合は同業者って言っていいんだろうか。
「とりわけ祓う力が強いんだよな、N」
「合掌するだけでだいたいの雑魚は滅殺だからね」
「『破ァーッ』じゃないの?」
「やたら詳しいな後輩。さてはファンか?」
怖い話を読み漁った後に読むとなんか和らぐよね。ビビりさんにはおすすめです。あと、時間をかけずに笑いたい人。
「取り憑かれた時には結構お世話になったよ」
「お祓い特化のジンジャでもダメなことあるの?」
「神主たる母さんがいない時とかはもっぱらNん家の出番」
「姐さん忙しいね」
「取り憑かれるのに忙しいもクソもあってたまるかって思うけどね」
「1週間日替わりで取り憑かれたことあったよな」
「誰も得しない日替わりメニューだね」
「待って、弟。それあたし知らないんだが⁈」
まあ、間違いなく元気でやってらっしゃると思うんですよ。訃報が海を超えて来ないので。いや、むしろNちゃんに限って夭折なんてあるわけないって勝手に思ってる。徳が高いから(?)。
「ってか、なんで寺生まれのNさん思い出したの?」
「梅干しが届いたからですね」
「ウメボシ」
「あいつ好きなんだよ、梅干し」
この後、おにぎりにして3人で仲良くいただきました。後輩は梅干しの酸っぱ爽やかさをいたくお気に召したらしい。
N氏の梅干し、今年も素晴らしい出来だったな……。
(いつもの3人シリーズ)
(いずれもっと深掘りしたいNさん)
4/9/2025, 10:39:45 AM