無音

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【175,お題:君に会いたくて】

街の夜景を見た時、絵を描いている時、朝ご飯を食べている時
日常のふとした瞬間にいつもちらつく光景がある

僕のとなりはいつも一人分空いていて
その空白に向かって話し掛けようとして、何度言葉を飲み込んだか

君はもういない、この世界のどこにも
どんなに会いたいと思ったことか、朝も昼も夜もただそれだけ思い続けていた

君に会いたくて、どんなところにも行ってみたけど
会うことは叶わなくて、当たり前だよね
距離なんてものが届かないほど遠い場所に君は居るんだろう

「会いたい」

一人分空いたベット、一人分減った食事、一人分減った会話

その一人分が僕には何十人分にも重く感じられて
埋まらない隙間を抱えたまま、死んだような生活を続けている

叶うならば、他に何を失っても良いからオレからあの子を取り上げないで
君に会いたいよ、隠れてないで姿を見せてよ

広く寒いベットで一人横になり、静かに息を止めた。

1/19/2024, 1:11:49 PM