※二次創作
※悪い子3人組(ばいきんまん、ドキンちゃん、ホラーマン)
「いただきまーす!」
バイキン城の朝ごはんは三人だけの空間でも、賑やかな雰囲気に包まれていた。
「あー…ん…」
赤い宇宙人の少女は、こんがりと焼かれた食パンを口にしようとした途端、しゅんと下を向いてしまった。
「どうしたの、ドキンちゃん?」
「飯が冷めちまうぞ?」
仲間の黒い宇宙人の少年と骸骨が心配そうに、彼女の顔を見つめた。
「…やっぱり、あの子のことが好きなのかな…?」
ふわふわで白い食パンの顔をした彼は、ピリッと辛いカレーの香りがするあいつのことが好きなのだろう。
私に向けたことのない心からの笑顔を、あいつに向けていたから。
「…ううん、やっぱなんでもない!」
そう言った赤い少女は、食パンにオレンジのマーマレードを塗り、勢いよく頬張った。
叶わない恋物語を物語るかのように、食パンに塗ったマーマレードの味は甘酸っぱくて、少しほろ苦かった。
おしまい
5/19/2023, 7:58:06 AM