NoName

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大事な人を亡くしたことがある

病院に運ばれたあとは眠ることなく枕元につめ、
息を引き取る瞬間までそばにいた

不思議なことに、そのときに周りと交わした言葉は、すべてくぐもった声で思い起こされる
病室の様子、医師の顔、握った手も、記憶の中で
すべてスクリーンを通したように青みがかっている

その人を失うことは、病院に着いた時点でもうわかっていた
その瞬間に、私の心は海の底に沈んでしまったのだろう
海の底からなすすべもなく最期のときを待っていた

いまもまだ、海面には出ていないと思う
でも少しずつ、浮上している

1/21/2023, 8:01:46 AM