秋色に染まった並木通りを歩いていた。アスファルトの上の枯れ葉がザクザクと音を立てている。
ここを抜けて、トンネルを潜った先に僕の家はある。だが僕はトンネルを抜けると、いつもの見慣れた景色ではなかった。
秋の美しい公園のような景色。綺麗な朱色に染まった木々が立ち並び、川が心地よい音を立てて流れている。
僕は先に進んだ。
「ねぇ、秋は好き?」
その道中で背後から少女に話しかけられた。秋色の瞳に秋色の髪色をした少女。
「うん、大好きだ」
僕は振り返り、そう答えると、少女はにっこりと笑って、空気に溶け込むように消えてしまった。
———
そこで頭に流れる映像は途切れ、寝ていたベンチから飛び起きた。
「ゆうじ大丈夫か⁈」
僕は、練習の途中に倒れて意識を失っていたらしい。
「……あぁ、ごめん。大丈夫」
今年の秋は、恥ずかしがり屋でなかなかやってこない。でも僕は秋が大好きだから、早く会えたらいいなと思った。
お題:秋色
9/20/2025, 12:52:33 AM