やさしくても、鬱陶しいことには変わりない。風が強いと、すーぐに傘が裏返るし。私の傘反抗期過ぎないか?
それに、やさしくてもやさしくなくても、私は雨自体が嫌いだ。
もちろん濡れるから、偏頭痛を起こすから、とかも理由にはあるが、そうではなく―――あ。
「あけみ、もっと寄らないと濡れるぜ」
「やだーもうまっくんたら」
―――リア充が雨にかこつけて相合傘をするから、が、一番嫌いな理由かな。
ほんと爆発してくんないかな。
しかも奴らときたら、自分たちの世界に入っているからか、現実が、つまり私の存在が全く見えていない。
歩道を圧迫するなよ。
そうして私が気を使ってひょいっと車道側に寄れば、それを見計らったかのように車が通る。
泥が⋯⋯跳ねた。
⋯⋯⋯⋯ああ、今、ちょっとだけ雨を好きになったかもしれない。
雨のお陰で、泣きそうになったのを隠せたから。
ちくしょう! リア充も車も爆発してしまえー!!
5/25/2025, 10:38:02 AM