酷使しきった両足を体ごとベッドに投げ出し、ごろごろと大きく数回寝返りを打つ。
いつもならこのまま少し遠くに聞こえるシャワーの音を背に眠りにつくのだが、今日はそうもいかなそうである。
うまく寝つけずにしばらくごろごろとしていると突然後ろから呆れたようなため息が聞こえてきた。そういえばいつの間にかシャワーの音が止んでいる。
「おーい、まだ起きてんのかよ」
「うーん、寝れなーい」
同部屋の友人であることは、確認するまでもなく、いつも通り適当に返事を返す。
それを聞くと友人は、仕様もねぇと興味を失ったように髪を乾かしに洗面台に戻っていった。
それを期に自身も己の思考に戻る。これほど、眠れないほどに考え事をしたのはいつ以来だろうか。
それぐらい今日出会った少女は異質だった。年も性別も当然違う筈なのに、まるで自分自身と出会ったような感触がしたのだ。
俗物的に言うなれば、ドッペルゲンガー。
「確かめるのは明日でいいだろ」
彼も何か思う所があったらしい。いつの間にか髪を完全に乾かし終えた彼は欠伸を一つつくと、すぐさま自分の寝床に潜り込み会話を強制的に終えた。
今考えても仕方がない、と自身も彼に倣って眠りにつくこととした。
「眠れないほど」
12/6/2023, 9:40:42 AM