画面には、いやにけばけばしい書体で「謎の天体現象」の文字が浮かんでいる。何とも気の抜けたアナウンサーたちのやり取りの向こうでは、黒く染まりつつある夕焼け空に白い線が流れていた。
いつもと変わらない退屈な朝。わたしはテレビを横目に朝催いをする。白光赤光相交奇――わたしもそんな風にして、恐る可し恐る可しと書き付けてみたいものだ。願わくは、この退屈な日常にも不可思議を――独り言を呟きながら、アイスコーヒーの入ったグラスに角砂糖を一粒落とした――黒く染まった粒子がさらさらと尾を牽いて落ちていく――テレビの電源を切ると、わたしはグラスをゆっくりと傾ける。
――国立天文台によりますと、今回の現象は火珠と思われるが、落ちてきた物体は白い立方体で人工物の可能性が高いと……
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流れ星に願いを
4/25/2023, 8:01:27 PM