カウンターで適当な討伐依頼を見繕ってもらい、簡易用紙一枚を手にそのまま酒場をあとにする。
幸いそう難易度の高いものでもなく、会ったばかりの後輩二人に恥を晒すことは無さそうだ。
外に出れば空は暗くなりはじめており、加えてちらほらと雪が見えはじめていた。
「ねぇ、明日にしない?この依頼」
ひらひら、と渡された用紙を手に気だるげに振って見せれば、確かに〜と同じく気だるげな声が返ってきた。
意外にもそれを咎める事なく、慣れたように話は明日の集合場所と時間の相談へと移った。アルト君曰く、こちらの方が寧ろ話が早いらしい。
しれっと私も彼の連れであるマルク君と同じ扱いを受けている事に疑問を抱きながらも、一人帰路についた。
「もう冬かぁ」
少しずつ存在感を増してきた雪を遠目にぼそりと呟く。
冬のはじまりは初雪から、なんてことわざのあるこの地域では正に今日がそうなのだろう。
雪に降られまいと足早に寮へと向かう私の足は、気づかぬ間に軽いステップを踏んでいた。
なんとなく、寒くて閉ざされた季節のはじまりに、雪解けの未来が見えた気がしたから。
「冬のはじまり」
11/30/2023, 3:57:13 AM