「ちょっと貸してよ」
「いいよー」
「お前すごw」
そんな会話が私の隣で広がってる。
どうやらゲームをしている様子。タイピングゲー。
「やっぱKは打つの速いよな」
ボソッと私は言った。
言った後、近くの想い人の瞳が私を捕まえる。
「いや、君の方が速いね」
そんな瞳で見つめながら言わないで欲しかった。
悪い意味では無い。良すぎて、壊れてしまうと思った。
「えーそう?でもKの方がやっぱ上だよ」
返事をする。
素直に「ありがとう」と言えなかった。
彼は首を振りながら「いやいや」といってる。
愛らしかった。
またあの瞳に捕まりたい。見つめてくれ。
そして私の心を思う存分乱して。
見つめて。見つめて。
3/28/2023, 12:52:28 PM