「キレイだね」
山の上から見た街は、暗い夜の存在を消してしまうのではないかと思うほどの明るさであった。
「そうかねぇ。僕には汚く見えるよ」
一緒にこの夜景を見ていた少女が言う。
私にはキレイに見えた景色は、彼女には汚く見えてしまった。
「あの明かりの数だけ空気が汚染されて、地球が段々と崩れてく気がしてヤだよ。」
「そうかなぁ。太陽光発電とかはエコなんじゃない?」
「ここはそんなエコなことしてる場所じゃないだろう。」
そうだ。ここは周りの街に比べると、かなり積極的に地球を崩すようなことをしている。反論できない。
「車とか他の街ではエコなやつなのに、ここは排気ガス垂れ流してさ。やだねえ」
私がなにか、なにかを言おうとしたとき、目の前の明かりがスッと消えた。
本気で汚いと思っていたのか、それともなんとなくだったのか、スッと消えた明かりを見ながら少し考える。
「…お気に召さなかった?」
「いーや。別に?嫌いじゃないよ、夜景。」
なんとなく、か。
街があったその場所を見ながら、心の中で手を合わせる。
「次はもっと良いもの見に行こうね」
彼女はそう言うと、帰って行った。
7/8/2023, 3:21:18 PM