『明日、世界が終わるとしたら君は何をして過ごす?』
唐突に投げかけられた質問
また何か変な事を考えているんだろうかと彼の方を見ると、
思いの外真剣で、それでいて少し神妙な顔付きをしていた
珍しく仮面を外し、露わになった双眸でじぃっと言葉を待つ
その姿を見て、何故か『嘘を付いてはいけない』と云う思考が頭を過ぎる
『そうですね...』
『貴方と、最後にゆっくり故郷の料理でも食べたいですね』
少し考え、自分のしたいと思った事を述べると、普段は
見えない翡翠色の瞳が輝いて見えた
彼が、彼の本音を曝け出す際にだけ露わになるその瞳が僕は
お気に入りだった
透き通って輝きを反射する瞳は、どの宝石より美しく神秘的で
目が離せない
『そっか…君は…ドス君』
何か言おうとして再び口籠る彼は、年相応の青年の様で
そっと抱きしめた
『案じなくても、僕は傍に。』
そう囁いて、僕は暫く動かなかった
感じるのは互いの体温と、心音だけだった
ドスゴー 🐁🕊️
お題 : 明日世界が終わるなら
5/7/2024, 3:31:14 PM