「良いよな、お前には目に見える才能があって」
「アンタにもあるだろ」
「これは俺のしたいことじゃないっっ!!!」
彼のアトリエ(彼は認めてないけど)に絵の具や筆がぶちまけられた。べったりと、白い床に赤黄青などが混ざる。
「はは、今のアンタみたいな色になったな」
「はー、うるさい」
「描いてる絵、綺麗じゃん。白い翼が、黄色と黒が混ざった背景によく映えてる。……コイツ片翼だけなんだな」
「水面には両翼つけるつもりだ」
「昔は飛べてたっていう暗喩?もしかしてさっきの才能の話?」
「……違う」
「残った片翼、よく見ると羽が毟り取られた跡がある。自由に飛べないようにされたんだな」
「……」
「コイツ、アンタに似てる」
「飛べないやつはどうなると思う?」
「まあ大体死ぬだろ」
「コイツは拾われたっていう設定で描いた。中途半端に世話されて、鳥籠に入れられて……」
「何で鳥籠描かずに水面描いたの?」
「生きにくい場所ってこと」
「もうコイツ空見れないんだな」
「もう飛べないからな」
11/12/2023, 9:31:45 AM