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私だけ(番外編)⑪の続き

視線の先には(番外編)⑫

●海

キラキラと眩しい太陽 青い海に白い砂浜
サーフボードで波に乗る若者達

サンオイルを塗って日焼けに勤しむ若者達
色とりどりのデザインの水着の美女達

そんな、夏真っ盛りの海の風景の中で
お馴染みの四人は、何をしているかと言うと....

ジュー ジューと鉄板で焼きそばを焼く
ハイネ かき氷にシロップをかけるシズク
浮き輪やビーチパラソルなどのレンタルの
受付をするミーナ 呼び込みをするナイト

四人は、今 海の家でアルバイトをしていた。

(あち~ぃ 何か一番過酷なんだけど
焼きそば作り)ハイネは汗を手の甲で
拭い途切れない列を見つめる。

(何でこんなに列途切れないんだよ
皆そんなに焼きそばが食べたいのかよ)
はぁ~と溜息を吐くハイネだが
ハイネは気付いていなかった。
呼び込みをするナイトを筆頭に
水着の女性達の視線の先には明らかに
ナイト目当て ハイネ目当ての人達が
居る事を....

ハイネは、目付きが鋭いので第一印象では
敬遠される事が多いのだが....
一人暮らしの為家事全般得意
運動も勉強もやる気が無くてさぼりがちな
だけで一応テストの時は、上位をキープしている。

加えて今回はお金を貰うアルバイトの為
いつもより愛想良くお客に対応していた
その為何も知らない女性達が色めき立って
いた。

しかしハイネは、自分に向けられる
そう言う視線には気付かない

ただ 早く列に切れ間が出来ないかなあと
思うだけである。

一方のナイトは、ハイネと違いそう言う視線には気付いているが....ミーナ一筋の為
あくまで客と店員と言うスタンスを
崩す事は、無かった。

女性陣は、どうかと言うとミーナも
スタイル抜群で美人なので知らない男性が
話しかけようとするのだがそのたびに
近くで呼び込みをしているナイトから
牽制の視線を向けられるので声を掛けて来る男性は、少ない 仮に勇気を出して
声を掛ける男性が現れてもミーナは
下心ありありの男性の振る舞いには
容赦はしなかった ぐさりと抉る様に
軟派な声かけを両断していた。


なので一番無防備なのは、四人の中では
シズクなのだが.... シズクに至っては
そう言う軟派的な声かけは、一切掛かって
来なかった。
可愛いとは、思われていた。
しかし見た目が小柄で小学生みたいなので
三人の誰かの妹だろう位にしか思われて
いなかった。

しかしそれは、声を掛け無かった時の場合
何人かの男性がシズクに声を掛け
その優しさと素直さに(小学生と思われているので下心的な事は、無いが)ほんわかと
癒されていた。
そんな空気をぶち壊す様にハイネが睨み上げて居たのでそんな空気は一瞬で終わったが....
とにもかくにも四人のおかげで海の家は
大反響で幕を閉じたのだった。

そしてバイトも終わり四人は、せっかく海に来たのだからと泳ぐ事にした。


四人は、水着に着替えた。
シズクだけは露出が多い服が苦手なので
濡れても良い洋服のワンピース型の水着だった。

そんなシズクを見てハイネは、....
露出が無くてほっとした様な
ちゃんとした水着の格好も見たかった
様な複雑な心情だったが胸の中に飲み込んだ。

そんな四人をさっきの海の家でハイネに
色めき立っていた女性グループが見つける。
特にハイネを気に入っていた女性の一人が
ハイネに声を掛けようとして....
動きが止まった。

ハイネがシズクに自分達の時とは、全然違う優しい笑顔を浮かべていたからだ
接客用の作った笑顔とはまるで違う
蕩ける様な優しい笑みだった。


その笑顔を見て女性は、悟った。

嗚呼.... 彼の視線の先には、あの子しか
見えていないのね....と
女性達は、ハイネに声を掛けるのを辞め
その場を立ち去った。


こうして一つの恋が知らぬ間にひっそりと
終わりを迎えたのだった....。

7/20/2024, 4:48:05 AM