昔から、なかなか寝付くことが出来ない質でした。
毎日のように不眠に悩まされ、薬まで飲んでようやく眠ることが出来ても、すぐに起きてしまう。
そのため、もう何年も日が昇ってから目覚めることがありませんでした。
目を開いてすぐに映るのは、薄暗い部屋。
まだ月が見える時間帯から、私の一日は始まるのです。
睡眠不足は常に纏わり付きましたが、私は、どこか特別感を抱いていました。
まだ誰も活動していない夜明け前。
まるで世界に自分一人しか存在していない。
そんな静寂は、存外悪くない物でした。
『夜明け前』
9/14/2024, 7:28:53 AM