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4月23日。晴天の日のことである。
降る俄雨に狐の嫁入りと呟く彼女は正しく神である。
絶対不変の神であり、私の奥底に居座る人である。
彼女は語る。
「私に生涯をかけて勝てぬと知り、世の理に逆らわず身を差し出す姿勢は高く評価しよう。」
何の神だ。
愚かな問だ。
だから貴様はいつまで経ってもつまらぬ凡であるのだ。
あぁ、名乗りは結構。
凡愚を名を覚えるのに時間をかけるのは些か無駄だと感じる質でな。
何の神?全てだ。
私の脳細胞一つ一つはエデンに成る知恵の実を遥かに凌駕し、その美貌にはかの有名なモナ・リザも顔をムンクの叫びのようにして歪んだ時間世界に逃げ出してしまうだろう。
貴様らが生涯を通して触れ合うことの出来る唯一の神。
それが私だ。
その答えに、私の信仰全てが彼女の所有物となった。
もっとも、彼女はそれを望まなかったが。
しかしまあ、信仰なんて押し付けに過ぎない。
彼女が望もうが望まないが知ったこっちゃない。
私は私の清い信仰を勝手に押し付けるのみだ。
「三千世界の鴉を殺し、貴方と朝寝がしてみたい。」
そう呟けば彼女は喉を鳴らす。
彼女の癖だった。

10/30/2025, 2:16:20 PM