一筋の光
好きな映画を聞いた。
父「タイタニック」
母「ロミオとジュリエット」
姉「世界の中心で、愛をさけぶ」
姉2「ブルーバレンタイン」
足に100トンの重りが繋がれたような気分だったが、なんとか家を出た。
学校で。お弁当を広げながら。
友人「ノッティングヒルの恋人」
友人2「プライドと偏見」
友人3「ラブ・アクチュアリー」
わたしはそっと目を閉じ、静かに呼吸した。
3人が顔を見合わせる。
ど、どうしたの?
ゆっくりとまぶたを開け、わたしは彼女たちに語り始めた。
やっぱりさ、友達の言葉は、至宝の価値があるわね。不滅の光芒。日輪の輝き。暗黒世界の一筋の光。
3人が再び顔を見合わせる。
だからさ、どうしたの。大丈夫?
怪訝な表情を向ける3人に向かって、わたしは大きく口を開いた。
だってさ、だってさ、うちの人たちみんな、最終的に結ばれない映画ばっかり言うんだよ。ホントもう、絶望だよ。日本は破滅寸前だったよ。……今日、告白しようと思ってたのに。
ああ、そういうこと。
でも3人はさすが、わたしの親友だね。ちゃんとわかってる。ハッピーエンドの映画だもんね。
いや、たまたまだけど……。
よ~し、勇気が出てきた。行ってくるね。
え、今?ちょ、ちょっと。
わたしは立ち上がって、先輩のクラスに向かっていった。
……止めたほうが良かったかな。
イヤイヤ、あの子、ああなったらもう無理よ。
しょうがない、撃沈したら今日はカラオケ行こう。わたしたちのおごりで。
ひとりが微笑みながらいうと、ふたりも笑顔で答えた。
ま、しょうがないね、わたしたち、不滅の光芒だから。
日輪の輝きだし。
暗黒世界の一筋の光だしね。
11/5/2024, 10:51:46 PM