『大切なもの』
命、家族、友人、夢、希望。
そんな綺麗な文字が並ぶ中、俺だけが頭の中で汚い物を書いていた。
"金"
金有っての命。
金有っての絆。
金有っての夢。
金が欲しいという希望、願望。
教卓に立つ俺は、道徳の教科書を読みながらそう感じていた。道徳は正解がないと言う。
だが、数字が付けられる。
大人の俺は、多分、付けられるなら2だろう。(自分で付けるなら、満点だが。)
しかし、思うのだ。
答えは無いのに、数字が付けられる道徳。
"見た目で判断してはいけない"と言う割に、子供達以上に見た目を気にする大人。
多様性と自己中を履き違える馬鹿。
"皆が来やすい学校を"と言いながら、"コンプレックスをさらけ出せ"と言葉を変えて言い張る先生。
そんな嘘の泥を固めて上から金箔を張り付ける大人と、嘘の泥をそのままにする大人。
どちらが、良いのか。
俺は、どうでも良いけれど。
『先生の大切なものは何ですか、?』
そう、生徒に言われた。
大切なもの。金。金。金。
『金だな。』
『えぇ~、w先生ったらぁ、w』
そう、笑い声が溢れる教室。
『お前らも大人になれば、金の大切さが分かるからな。』
24.4.2
4/2/2024, 4:23:31 PM