喜村

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 辺りは木が鬱蒼と繁っている。足元の地面はぬかるんでいる。
 困った、完全に遭難した。
 こう行けば正規ルートに戻れるだろう、と、勘で行動していたら、もう元には戻れない場所に来てしまった。
引き返そうにも、数分前にどこを歩いていたか思い出せない。なんといっても、みる限り似たり寄ったりの木しかないのだ。
 諦めて、斜面が下に向かっている場所を選び、ずっとあるか続けていると、ようやく人工物を見つけた。
 吊り橋である。それも、かなりぼろぼろの漫画やアニメで出てくるような、木と縄で作られた壊れそうな吊り橋である。
 吊り橋の下は、もちろん崖。それもかなりの高さである。
 この吊り橋のその先にある道は、果たして人がいるのだろうか。
人がいるという保証があるなら、勇気を出して進もうと思えるものだが……。
 他に道はないかと見るも、また獣道を探るしかない。
 この道の先に、幸あれ--!
俺は突き進んだ。


【この道の先に】

7/3/2023, 10:46:23 AM