人間、人間、ニンゲン、ニンゲン
「なあ神様、オレの名前知ってる?」
「なんだ貴様は、」
小生意気な人間が現れた。
【神様】は額に浮かぶ汗を拭い去りながら怪訝な顔をする。
生意気な人間が現れた。と、もしここが神殿ならそう思っただろう。
しかしここは見渡す限り荒地の続く屋外であり、厳密に言えば【神様】は神ではない。呼び名である。
ではなぜ不機嫌なのかと言うと小生意気な口を効く【男】は修行と称したトレーニングのためにに【神様】を連れ出しており、まさに先程まで拳を突合せていた。
やっとひと段落ついて小休止になったかと思えば先のやり取りである。どこまで私を振り回すのか、と口にせずとも顔は語っていた。
「神様オレの事名前で呼ばないじゃん」
「貴様だってそうだろう」
「神様が呼ばないからな」
そういえば出会ってすぐのころに【男】は【神様】を名前で呼んだことがあったが、その時すっかり頭に血が上っていた【神様】の耳には届いてなかったのである。
「オレのこと名前で呼べよ」
「ならば貴様が我が名を呼べ」
「えー、」
7/20/2023, 10:57:36 PM