ホシツキ@フィクション

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出産して6ヶ月。
季節は春から秋になっていた。

『あんなに小さかったのに、もうこんな大きくなって…』

寝ている我が子を見て、感慨深くなる。

『肌寒かったり、暖かかったり、中途半端な時期に出産したから退院時の我が子の洋服に迷ったっけ…』

結局寒かったらいけないと思い、その時薄手の長袖を着せた。

「赤ちゃんなんてすぐ大きくなるんだから、大きいサイズを買っときなさい」
という母からの助言で買った80サイズの洋服。

『当時はぶかぶかだし、手まですっぽり隠れてたから袖まくったんだよね…』
ふふっと笑みがこぼれる。

6ヶ月経った今、少しだけ肌寒い秋にぴったりの薄手の長袖。
我が子のサイズにちょうど良くなった。

我が子が寝ているので、今のうちにと夏服を片付ける。
もう来年には着れないであろう夏服たち…。

『この服着せて、お盆に初めてお義母さんに会いに行ったな。…この服はパパと3人で初めてちょっと遠いところまでドライブ行った時のだ!……この服はお食い初めで――』

たった6ヶ月のはずなのに、思い出がたくさん詰まった洋服たち。
どの服もたくさん着て、買った時よりも布地が柔らかくなっている。

『捨てたくないなぁ…』

2人目は考えていなかったし、もし仮に妊娠したとしても上の子と性別も違うかもしれない。

ほかのママさんたちに聞いたら、ブランド物なら売ったり、親戚の子におさがりであげたりしていたらしいが
私が買っているほとんどの服は西松屋だ。
それにクタクタになっていて人様にあげれるような状態では無い。

『そうだ!リメイクしてポーチにしよう!』

不器用で今まで手作りで小物など作ったこともないのに、
ふとそう思い立ち、入れたっきり出したことの無い裁縫箱を棚から取り出した。

型紙もなく、知識も家庭科で習うレベルしかないが、一生懸命思い出を思い返しながら作った。

出来上がりはとてもいびつで薄っぺらく、上手とは言えないものだったが、私はとても満足感を得た。
それと同時に何故か自分が誇らしげに思えた。

その後も我が子が寝てからポーチを作ったり、星型に切ってキーホルダーにしたり、最終的には色んな服の布を使って大人の手のひらサイズの小さなクマのぬいぐるみまで作った。

お店に出せるわけがない出来だが、最初に比べると見れるものになった。棚に飾ったそれらを見て心がとても温かくなった。



お出かけする時にオムツなどを入れるママリュックにキーホルダーを付け、少しだけ上手に作れたクマのぬいぐるみは我が子の枕元に置いた。

夜中に起きた我が子が、そのぬいぐるみをあむあむ噛んでいたのを見てとても嬉しかった。


夏服は全て形を変え、私たちの生活に溶け込んでいったのだ。


―――きっと私はこれからも忘れないだろう。
一瞬一瞬を一生懸命生きている我が子を守って、彩ってくれたこの洋服たち。

形は変わっても、きっとこの洋服たちは誇らしく、我が子の成長を見守ってくれるだろう。

「ありがとう」と呟き、裁縫箱を片付けた。



【大事にしたい】~完~






我が子の成長は嬉しさと同時に、いつかは自立して自分達の元から離れていくカウントダウンと考えると少し切なくなりますよね。
でも自立していった時、きっと誇らしくなるでしょう。
ママさん、パパさんいつも頑張っていますね。お疲れ様です。


そしてまだ学生のあなた、今学校にバイトに何やかんや一生懸命頑張ってて偉いです。生きてるだけで立派です。親はそれだけでも嬉しいんです。普段言葉には出さないけどね笑
我が子の幸せが親の幸せ。何も大きなことを成し遂げなくてもいい。大手とか公務員とかそういうのにならなくてもいい。
あなたが突き進む道を応援する。
少なくとも私はそうです。

親を誇らしくするためだけではなくあなた自身も誇らしく親元を離れられるように生きていって下さい。それが願いです。


というちょっと上からでゴメンなさい(全力土下座)
私も母親という立場上、書きながら泣きそうなってしもた…

♡︎いつもありがとうございます。嬉しいです(*^^*)

9/20/2022, 12:10:08 PM