冬山210

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『モンシロチョウ』

例え君がこれから美しくなるのだとしても、
私は蛹に至るまでの君を愛することはできない。
蛹ですら気味が悪いと思うよ。

蝶々、蝶々。
私は君というモチーフが好きだ。
けれども本物の君は好きじゃない。
君が虫である限り、僕が僕である限り、嫌いだ。


しかし、春を告げるように舞う白や黄の君よ。
君が舞うから私は春が分かるのだ。
君が舞うから私は、君を追いかけたありし日の私を想うのだ。


虫取り網と籠を持って、公園へ駆けて行った。
時には姉上と共に。時には一人で。
きっと君を追う時間は楽しかったのだろうな。

5/10/2022, 12:32:25 PM