昨日、こちらの世界には"フユヤスミ"というものがあるとyから教えて貰った。
最近は支部にほとんどの人間が集まっていて、それぞれが鍛錬をしたり料理をしたりして自由に過ごしている。聞くと、皆その"フユヤスミ"を楽しんでいるらしい。
だが…
「s、jは何処に居る?」
とオレは菓子作りをしているsに尋ねた。
『あぁ、jさん、確かにみんな冬休みなのに帰ってこないね…なんでだろう』
不思議そうにsは返す。
『jさんはしょうがないわよ、あの人は暗躍が趣味なんだから。』
とsと一緒に菓子を作っていたkが割って入った。
「暗躍………」
押し黙ってしまったオレにsが声をかけた。
『hくんが良かったらだけど…jさんにメールしようか?』
「!!……すまない。頼む。」
sは流石オペレーターと言ったところか。いつも気を利かせてくれる。礼をしなければならない、と強く思った。
ー暫くして、玄関の方でガタガタと騒がしい音がしたかと思うと、jが勢いよく部屋に入り込んできた。
『hは…?』
息を荒げて辺りを見回す。ソファでホットココアを飲んでいるオレと目が合うと、jの顔が輝いた。
『h〜、sから聞いたぞ〜』
言われてsの方を見やると、sはにやにやしながらこちらにピースを向けていた。これは…礼をする必要はないみたいだ。
「………」
『おいおい、そんな嫌そうな顔するなって』
「…オレは、"フユヤスミ"がしたいだけだ。別にjに特別な用事があった訳では無い。」
『え〜でもsが〜…』
非常に五月蝿い。
「言葉の綾だ。」
『はは、…いや〜そうか、冬休みか…学生時代以来だな〜』
しみじみとしているjを睨む形で見る。
『まあまあ、そんな顔するなって。うーーーん、冬休み…よし、じゃあ行こうか』
「何処にだ?」
『それは行ってからのお楽しみってことで』
思い切り嫌そうな顔をしてみせたが、jはお構い無しにオレの背中を押し、半ば強制的に連れ出した。
ー外出の内容がいつもと何も変わらなかったのにオレが腹を立てるのと、オレが"フユヤスミ''の意味を知るのは同時だった。
〜〜〜
From:s To:j
件名:hくんが!!
内容:hくんがjさんに会いたくて寂しそうにしてるよ!
ほら、早く帰って来て!!
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冬休み
J × H
(視点 : 右)
12/29/2024, 12:38:15 PM